1981年、黒い旋風がパリのファッション界を駆け抜けた。嵐の中心に現れたのはデザイナーの川久保玲であった。彼女の手によって、万華鏡のごとく色彩にあふれていたランウェイは、一瞬にして声を失い、静寂に沈むモノクロームの舞台へと姿を変えた。
死を想起させる黒、新品でありながら穴の空いたニット、大胆にも均衡を拒絶したアシンメトリー。そこには誰も踏み入れたことのない、不安と魅力が衝突する感情の領域が開かれていた。観客は驚き、戸惑い、そして最後には心を奪われていった。
やがて「黒の衝撃」と呼ばれることになるこの挑戦は、衣服という枠を超え、人々を文化そのものの深淵へと誘った。黒への妥協なき献身は、美の常識を音を立てて打ち砕き、未踏の創造の地平を照らし出したのだった。
常識を、
疑う準備はいいか。
世界を変えてきたのは、いつだって非常識な者たちだ。 彼らは地図のない場所に道をつくり、「NO」と否定されるたびに不敵に笑う。
『イノベ図鑑』。
これは、優等生のサクセスストーリーではない。 当たり前という重力を振り切り、己を信じ抜いた「異端児」たちの航海日誌だ。
あなたの抱く、その違和感。鋭利な独創性。扱いにくいわがまま。 それこそが、世界が今、喉から手が出るほど渇望している「イノベーションの火種」だ。
馴染むな。抗え。
代わりのいない、あなたであれ。





